[本]数学的にありえない(上・下)(文集文庫)
数学的にありえない〈上〉 (文春文庫)
数学的にありえない〈下〉 (文春文庫)
以前にも多少この本について書いていましたが、読み終わったので感想を。
06年、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第3位、
「このミステリーがすごい!」海外編第5位にランクインした、アダム・ファウアーのデビュー作。
05年の発表以来またたく間に16カ国あまりで翻訳されベストセラーとなり話題を呼んだ、
圧倒的なリーダビリティーを持つノンストップ・サスペンスである。
(Amazonのレビューから引用)
一見、数学・統計学・物理学などがガンガン出てきて、おそらく
理系アレルギーの人は読む気も起らないように感じると思う。
しかも、主人公は決定論のPostでも書いた「ラプラスの魔」そのもの、という
若干サイコっ気も含んだ内容。
理系サイコミステリーか?というと、実はそうでもないところがいい感じ。
全体としては大きなアクション大作というか、CIA工作員やら秘密組織やらロシアやら北朝鮮やら
困惑しそうなくらい色んなヤバイ組織と戦ったり逃げたり、という大枠が存在し、
それだけでも描写としては非常に面白いしよく作られている。
その中に出てくるマテリアルとして数学・物理学的な要素が出てくるということ。
「すべてのとき」に主人公が入ると、今何をするかによってどういう過去が生まれるか
全てが予見できる。その中で、期待する結果に到達する可能性が一番高い行動を
選択して、危機を回避していく・・・という進み方。
Amazon書評にもうまいこと書いてありますが、「ジョジョっぽい」というのは確かにその通り。
第3章っぽいな。
全体としてはDIOと戦う長い旅を描きながら、その中で波動(波紋)を擬人化したスタンドを活用した
色んな能力を駆使して危険を回避・勝利していく。まさにそんなノリ。
理系アレルギーには細かい描写が苦しいかもしれませんが、
個人的には知的探求心も満たされつつミステリー大作を読んだという
感じで一石二鳥に面白かったです。
ちなみに、解説がなぜか児玉清です。